暑くなってくると、どうしても食べたくなってくるキュウリは、日本人であればほとんどの人が食べたことがあるのではないでしょうか?
サラダや酢の物、漬物などで手軽に美味しく食べられることから、日本ではとても人気がある野菜の一つですが、実は昔の日本においては、あまり好かれている野菜ではありませんでした。
インド西北部の山岳地帯が原産とされている野菜で、キュウリの歴史はとても古く、紀元前10世紀ごろには西アジアを中心に広く栽培されて食べられていました。
日本には1500年ほど前に渡ってきたとされており、意外と古くから日本で食べられてきた野菜の一つです。
一方でキュウリは、水戸黄門で有名な徳川光圀が「毒多くして能無し。植えるべからず。食べるべからず」と書き残しているほど、非常に嫌った野菜としても有名です。
今でこそ、品種改良により生でバリバリ食べられる野菜となりましたが、実は昔のキュウリは今のような細長い形状ではなく、むっくりとした太くて短い形状でした。
※こちらの画像に近いかもしれません。
味も苦みが強かったようで、そのことから「不味い」「小毒がある」とされていたようです。
苦みを回避するために、黄色く熟してから食べるということもされていたようですが、キュウリ独特のシャキシャキ感がなくなり、食感が悪くなることから、やはり不味いとされていたようです。
ちなみに、献上品として運ばれるうちにキュウリが黄色く変色し、届いた際には黄色い瓜になっていたことから、黄瓜(きうり)と呼ばれだしたことから、現在のキュウリの語源となったとされています。
また、キュウリを輪切りに切ると、切り口が江戸時代当時の将軍である徳川家の葵の御紋に見えるから、食べるのは恐れ多いとされており、武士の間ではあまり食されなかったとされています。
(確かに言われてみれば似ているかもしれませんね...)
ここまで嫌われていた野菜であるきゅうりですが、栽培がしやすく量が取れることと、ほとんどが水分で構成されから、安全な水が入手しにくい地域において住民の水分補給の役割を担ったともされています。
その他にも、「最も栄養価の低い野菜」という俗説が出回るなど散々なきゅうりでございますが、実はキュウリは栄養が他の野菜に比べて特に低いということはありません。
95%ほどが水分とされていることから、「Least calorific fruit:世界で最もカロリーが低いフルーツ」としてギネス認定されたものが、誤訳されて伝わったものです。
※日本人としてはキュウリをフルーツと分類することはありませんが、海外では果実のことをフルーツと呼ぶため、キュウリもフルーツとなるようです。
きゅうりは大半が水分であり非常にカロリーが低いので、食べ物が溢れている現代では逆に、健康的な野菜といえます。
塩分の体外排出を助け、高血圧やむくみの予防に効果的なカリウムや、筋肉の収縮や体温、血圧の調整や血小板の働きをサポートするマグネシウムなどのミネラルが特に多く含まれており、カルシウムの吸収を助けるビタミンKや、ビタミンCと食物繊維も豊富に含まれいます。
身体を冷やす作用があることから、熱い時期には夏バテ防止もあるとされています。
暑くなってきますこれからの時期には、美味しいキュウリを食べられてみてはいかがでしょうか?
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